ジョシュア・ベッカー著「より少ない生き方 ものを手放して豊かになる」を読みました。
実は、この本意外にもいくつかミニマリズムに関する本は読んでみたのですが、この本が一番本質をついていて、僕は心に響きました。
「ミニマリズム」「ミニマリスト」という言葉が浸透して久しいですが、まだまだミニマリズムという言葉について、深く理解している人は少ないのではないかと思っています。
それもそのはず、僕たちが生きる世界は、物を持つことがステータスであるという価値観を持つ世代と、物を持つことに価値観の重きを置かない(あるいはおくことが出来ない)世代が入り混じる社会だからです。
僕たち(30代)の親の世代は(50~60代)、戦後のバブルを経験しているので、まさに「物の豊かさこそステータスである」という価値観が顕著なのではないでしょうか。だから、僕もずっと家を建てて、かっこいい車に乗って、いい会社で働いて稼いで…というような価値観を植え付けられて育ってきたと思います。親からの教育はそれほどまででしたが、周囲のやテレビといったメディアでそのような価値観を浴びてきたなあ、と振り返っても思います。
成長とともに植え付けられた価値観というのはなかなかに拭うのが難しいもの。ですが、僕自身何となく物に溢れた生活を送ってきて、漠然としたモヤモヤがありました。
具体的な例を出すと、僕は結構多趣味で、昔から釣りやアクアリウム、カメラ、植物、読書、ガジェット収集…色々な物を買ってきました。どれも、好きで初めたものばかりなので、後悔というものはないのですが、色々なもの・ことに溢れた生活を送っている中で、自分がどれが一番好きで本当にやりたいことなのか?何だか分からなくなったと感じていました。
そんな折、この本に出逢い、可能性を増やすのではなく減らすことの重要性を思い知らされました。この本を読む前から、少しづつ物は減らしていたのですが、本を読み終え、本当にやりたいことを追求するために、思い切った断捨離をすることにしました。
僕の人生の大半を占めているのが、釣りとアクアリウム。この2つだけはここまで生きてきた30年以上、ほぼ辞めずに楽しんできた趣味たちです。
一方で、最近は場所に縛られない生活、世界中を旅しながら釣りをしたい!と強く感じていました。一方で、趣味のアクアリウムでも副業をしており、それなりの収入があり、釣りに出かけながらもアクアリウムも続けていました。
ですが、世界中を旅するにあたって魚たちを自宅で飼育していたら、僕が旅に出かけている間、面倒は誰が見るのだろうか?と思ったのです。いつもは妻にお願いしたりしていたのですが、僕のやりたいことには”妻と一緒に”という条件もありました。
そうなったら、魚をたくさん飼育していたのでは妻と一緒に旅など一生いけないのではないか?本当に当たり前のことなのですが、ハッとさせられました。
そして、自問自答してみました。
「そもそも自分が今、アクアリウムをしているのは何のため?」
元はと言えば、魚が好きで飼育することでその魚を観察したり、癒しを得るために始めたアクアリウム。家に遊びに来た人に、「うわー凄い!綺麗!」といってもらえるのが嬉しくて、飼育していたなあ。でも、そんなにしょっちゅう家に人が遊びに来ることはないし、最近は販売のための魚を増やすことが目的になっていて、正直、癒しなど得られていない・・・そして、色々な趣味の合間に水換えなどのメンテナンスも行なっているので、楽しみながらアクアリウムもできていないじゃないか。
と、思ったのです。
逆に言えば、水換えや副業のための繁殖の時間やそれにかかる費用を、すべて旅や釣りのために費やせば、もっと早く自分の望む生活が手に入るのではないか、とそこで初めて気づきました。
本の中にも、「物を手放すことは、一つの夢・可能性との訣別の作業」といったことも書かれていて、今の僕の心に強く響きました。確かに、自分は副業で収入があることを理由に、本当にやりたい暮らしへの一歩踏み込むのを躊躇っていた。一つの趣味・物を手放すことで、そこにできた時間で本当にやりたいことができるではないか。
そう思い立ち、これまで溜め込んでいたアクアリウムのグッズをどんどん手放していっています。価値がないものはゴミへ、価値があると思うものはヤフオクなどで売っていますが、捨てるのも売るのも手間のかかる作業です。本には、要らないものは寄付するのがいいと書いていたので、できるだけ必要としていそうな友人などに声をかけて譲っています。
もちろん今回挙げたアクアリウムという趣味の断捨離は一例に過ぎず、他にも実生活であまり使っていない物をどんどん整理しています。この2〜3週間で数百は捨てたのではないでしょうか。
正直なところ、勿体無いという気持ちがないわけではないですが、本当に必要になった時が来たらまた買えばいい、本当に必要な時にいつでも物を購入できる経済力をつけておくことが重要だと感じています。
また、世界的ベストセラーである、ユヴァル・ノア・ハ・ラリ著「サピエンス全史」にもあるように、人間は長い間、一つの場所に定住せずに移動しながら生活していた狩猟採集民であったこと、定住が現代富や権力を生み出したのではないか、という記述に大きく納得する部分がありました。
できるだけ物を持たず(もちろん、自分が本当にしたいことを成し遂げるために必要なものは持ちつつ)、狩猟採集民のように移動しながら仕事するスタイルをより確立していきたいと思います。そのうえで、やはり自分にはミニマリズムがあっていないと感じた時は、マキシマリズム寄りに生活をシフトしていきたいと思います。
現在進行形の実験と思い、今はいったん、ミニマリズム思考で生活を組み立てていきたいと思います。ぜひ、参考になる部分があれば、皆さんもミニマリズム、実践してみてください。