あなたは今、パフォーマンス地獄に陥っていないか?非効率にこそ人間の価値があるのかもしれないという話


これは自分への戒めも兼ねて、ここに記しておきたいと思います。

最近はコスパ(コストパフォーマンス)、タイパ(タイムパフォーマンス)など、何かとパフォーマンスについて取り沙汰される機会が多いですよね。

パフォーマンスとは、日本語で「効率」というニュアンスだけれども、パフォーマンスに取り憑かれてしまうと、効率的ではない無駄なことができない状態に追い詰められてしまうのではないかと感じています。

ここで一度、効率的ではない物事について、考えてみたいと思います。皆さんはどんなことを思い浮かべますか?僕の場合は、

・本を何度もじっくり時間をかけて読む

・大量生産できる商品を、一点一点、手作りで作る

・釣りのガイドを雇わず、ネットから情報を得ることなく、自分で釣り場を開拓して釣りをする

などです。

本を読むことについては、最近では本の要約をしたYOUTUBEチャンネルがあったりします。じっくり読むと7~8時間もかかるような本でも、20~30分で内容をかいつまんで学習することができるというものです。

これは忙しい現代人にとっては、非常にありがたい動画ですよね。

大量生産品をハンドメイドで作ることについては、まさに現代のビジネスがそれを象徴しています。現代の技術があれば、もはや大量生産で作れないものはほぼないといっても過言ではありません。

工業品に限らず、食べ物ですら大量生産されている世の中です。

大量生産のメリットは、品質を一定に保ち、価格を安く抑えることができる点です。

釣りの例についてはどうでしょう?これは完全に僕の趣味の話ですが、ある程度のお金を払えば、釣りたい魚を釣らせてくれるフィッシングガイドが世界中にいます。最近ではSNSを使って、集客しているのもよく見かけますね。

どれも、パフォーマンスを上げようと思えば、いくらでも上げられるものばかりです。しかし、本当に効率化にはメリットしかないのでしょうか?

僕は、非効率の中にある重要な点についても目を向けるべきだと考えています。

例えば、読書について。僕は本を読む目的は、新しい知識やインスピレーションを得るためですが、要約チャンネルでは効率的に情報を得ることはできても、意外に内容が記憶に残らないということに気づきました。

人間は繰り返し学習しないと、知識は記憶として定着しません。だから、いかに効率良くたくさんの動画を観たとしても、なかなか使える知識として記憶することができないのです。

それならば、何度も動画を見返せばいいのではないか?と思われますが、物事はそこまで単純ではありません。確かに何度も何度も同じ動画を観ることで、記憶への定着を行うことは可能だと思います。

しかし、動画を見る画面には、さまざまな関連動画や広告が表示され、常に僕たちの注意を惹きつけてきます。本をじっくり読んでいる時のような没入感は、中々得られないものです。

だからこそ、僕はいかに非効率でも、時間をかけてじっくりと・何度も本を読むようにしています。時間的には非効率でも、結果として自分の知識としてしっかりと定着させることができています。

大量生産品についてはどうでしょうか?最近僕は、無添加・無農薬の食べ物を意識的に選ぶようにしています。

大量生産をしようと思うと、生産や加工の段階でさまざまな添加物や農薬が使われます。これらは人体に悪影響を及ぼすものも多くあります。一方で、一つ一つ手作りした食品は手間の割には、ムラもあるし味も決して美味しいものばかりではありません。しかも高い・・・。

それでも、体へ悪い影響が少なく、実際にある期間これらの食品を意識的に摂るようにした結果、やる気や集中力などにいい影響が出たと強く感じました。

これは大量生産では決して得られないメリットです。究極的には自分で育てたり作った食べ物だけで生活できればいいのでしょうか・・・流石にそこまではできないので、お金でそのメリットを買っています。

最後の釣りの例についてもお話ししておきましょう。この例についても、「目的の魚を釣る」というためだけであれば、ガイドを使った方がより効率的に目標をこなしていくことができます。

僕もフィッシングガイドを利用することはあります。ガイドを利用すれば、より快適かつ安全に魚釣りを楽しむことができるからです。特に一人ではなく、家族や友人と釣りをする際は、利用します。

一方で、敢えて自力開拓を選択する場面もあります。なぜなら、その魚を釣るまでのプロセスがとても楽しいからです。究極的には魚が釣れなくても、その過程で起こった出来事や出会った人々とのやりとりがたまらなく楽しいのです。

これはガイドを利用しただけでは決して得られないメリットです。敢えて効率化を避けることで、得られるものは意外と多くあります。

人間は、「楽をしたい生き物」です。ですから、より効率的にできることを目の前にしたら、それに飛びつきたくなる性分を持ち合わせています。効率化が現代の発展を支えてきたのは事実です。

しかし、効率化を追い求め続けても、人間の幸福はそこにはないとも思っています。現に効率化され尽くした現代において、自殺率が高くなり、心の病に悩む人が増え、幸福度は年々下がっています。

ですから、これからの僕たちは、敢えて非効率を意識的に選択する必要があると思うんです。

効率化全てがダメとは思いません。しかし、敢えて面倒なことをしてこそ得られる経験・感情を噛み締める時間が、僕たちには必要だと強く感じています。パフォーマンスを度外視した先に、パフォーマンスを重視しただけでは得られないものがあるのではないでしょうか。

ぜひ、自分に落とし込んで一度、考えてみてください。